穴を掘って埋めるという拷問

皆は有効需要が消失し、労働者が閉め出されて不況に陥った場合、どうすれば良いと思う？

資本主義下においては、基本的に資本家が資本（カネ）を供給し、『労働者が労働する』ことでしか賃金が支払われないわ。
つまり、資本主義が成り立つにはまず『すべての労働者に職があること』が前提なわけね。

労働者はすなわち消費者とイコールよ。
単なる機械じゃないから、生活のため自分で稼いだお金を使って住処を確保、日々の食料を購入したり、あらゆる商品を買う消費者よ。
経済活動に組み込まれているのは当たり前の話よね？
つまり、企業が失業者を出すことで、商品を買う消費者を減らし、結果的に得られる利益も下がるわけ。

企業がコストカットしようとして雇う人を減らしたり、賃金をケチると、自社製品を購入する消費者の所得を減らすことになるの。
それを多くの企業がやり始めると『デフレスパイラル』に陥るわけね。
皆がお金を使えなくなることで資本経済が回らなくなるわ。
ミクロではコストカットが利益を得るのに最適でも、マクロで見た場合消費者を減らして利益を減収させる愚策なわけね。
コレを『合成の誤謬（ごうせいのごびゅう）』というわ。

『好きなこと』を仕事にした従業員の給料をギリギリまで下げたらどうなると思う？
業界にとって最大の顧客を失うのよ？
アニメ業界で働くアニメーターの賃金は最低賃金の半分以下よ。
そのアニメーターはアニメ業界の最大の顧客なのにアニメのDVDは高価すぎて買えないわ。

『好きな仕事をしているのだから賃金は安くて（タダでも）良いだろう』

という思想が如何に滑稽かは理解出来るわね？
企業自身が自らの手で顧客を捨ててるのよ。経営が成り立つわけないじゃない。

で、コレを解決するにはケインズの言うように「有効需要を底上げ」。
つまり、政府が仕事を作って『失業者を雇って』しまえばいい、ということね。
政府が経営者の代わりに労働者（消費者）に賃金を支払えば、商品を買うための購買力があがり、モノがどんどん売れるようになって経済が復活する、と。

でも、よーく考えてみて。
その仕事、本当にいる？

穴を掘って埋めるなんて無駄の極みよ。
実際に存在する『穴を掘って埋める』という拷問を人間にやらせると発狂すると言われているわ。
目的のない作業のくり返しは人を無気力にさせ、狂わせるのよ。

そんな拷問でカネを得るためだけに貴重な人生を捧げて良いと思ってるの？
お金なんて無からいくらでも生み出せるんだから、さっさと配れば良いだけの話だと思わない？
このパラドクスに囚われている限り、『穴を掘って埋める』ようなクソ仕事は無限に生み出されていくわ。
すでにあなたは『無駄なクソ仕事』してないかしら？